コードの変わり目を突き抜けるバッキング
ジャズというものは、ある程度の「行儀の悪さ」がないとかっこ良いサウンドになりません。
「行儀の悪さ」を作る方法として、コードの変わり目を突き抜ける方法があります。
たとえば、こんなツーファイブ進行があったとします。
G7とCの変わり目を突き抜けて、このように演奏するわけです。
バッキングの演奏例です。
この例では、Cに遅れて解決していますが、たとえばDmからG7の変わり目など、他の箇所でも使うことができます。
一般的に、解決を遅れさせる技法はジャンルを問わずよく使われるものです。
ベートーベンのソナチネから4小節抜き出してきました。最後の小節のコードはGメジャーですが、メロディが「ラーーーソー」と遅れて「ソ」に解決しています。
ジャズでは、もっと積極的にコードの変わり目を突き抜けていきましょう。
スウィング感を出す練習「表拍と裏拍の重み付け」
今回は、スウィング感という永遠のテーマを扱います。
スウィング感を言葉で表したり、定義をすることは困難ですが、スウィング感を構成する要素を取り出して練習することで、スウィングに一歩近づければと考えています。
八分で構成するフレーズを、次のように演奏してみましょう。
全体として音は繋げるのですが、表拍から裏拍は少し力を抜きます。裏拍から表拍は音を切ったり減衰させたりしないようにつなぎます。
バウンス(はねること)はせず、音の大きさを揃えて、この表拍と裏拍の扱いだけに集中してください。
バウンスしていないのにバウンスしている感じが出るし、音の大きさが同じなのに裏拍に少しアクセントがあるように聞こえます。これがスウィング感の正体の一部分です。
スウィング感のある演奏に必ず含まれるとも言えませんが、自身の演奏に大きなヒントになるはずです。
アッパーストラクチャートライアドのフレーズ例
C7の上にAメジャートライアドを載せるアッパーストラクチャートライアドの、アドリブフレーズの例です。
ド#がキラキラ輝いて聞こえるのは私だけでしょうか。
単音だけ引くとキツい音でも、トライアドを構成しているとかっこ良く聞こえるから不思議です。フレーズのシェイプってとっても重要ですね。
アッパーストラクチャートライアドを使ったアドリブ
C7の上にAメジャートライアドを載せるアッパーストラクチャートライアドを、アドリブのフレーズでも活用していきましょう。
C7のときにAメジャートライアドを構成音としてフレージングすると、アッパーストラクチャートライアドの効果が得られます。
ただし1オクターブの中に3音のスケールになるので、このスケールで長く弾き続けるのは困難。
少し視点を変えると、Aメジャートライアドは、Cコンディミスケールの一部でもあります。Cコンディミの中で、Aメジャートライアドを意識したフレーズの組み立てをすることで、よりフレージングの幅が広がることでしょう。
アッパーストラクチャートライアド(UST)C7の上にF#メジャー
今回はエグいボイシングです。アッパーストラクチャートライアド(UST)として、Cの裏のコードであるF#を載せたものです。
エグいのですが、使い所によってはすごーくかっこ良くなるので、よく使われるUSTの1つだと思います。
このエグいサウンドは、そう、オルタードスケールの感覚です。
オルタードスケールも、C7の上にF#を載せるUSTも、うまくつかえばカッコイイけれど、使いすぎは禁物。劇薬みたいなものです。